お金以外にクラウドファンディングがもたらす副産物について【目から鱗】

サカナクションというバンドが大好きな、クラウドファンディングアドバイザーのジンボラボ神保貴雄です。
先日、こんなクラウドファンディングに関する相談をいただきました。
その内容というのが……
新潟県南魚沼市塩沢地域の歌舞伎保存会が結成20周年ということで、来年の2月に開催する公演を例年より少しだけ豪華にやりたい!という内容でした。
「少しだけ豪華」の内容がこちら。
- 20年の歴史を振り返る写真パネルの展示
- 歌舞伎にまつわるゲストを招待して講演してもらう
目標金額は50万円。
歌舞伎保存会の若手の方から相談をいただきました。
この記事のもくじ
クラウドファンディングに向いている案件とは
いろいろとお話を伺わせていただきましたが、とてもクラウドファンディングに向いている案件だなぁ〜と。
【100年食堂プロジェクト】もそうでしたが、伝統を残す、紡ぐという目的のプロジェクトは非常に公益性が高く共感を生みやすいという利点があります。
https://camp-fire.jp/projects/view/124040
このプロジェクトすごくないですか??
このように「古き良きを後世に残す」という意味合いのプロジェクトは注目を集めやすいコンテンツなんですよね。
また20周年という「お祝い」的な意味合いも含め、支援されやすいのではないか〜と。
クラウドファンディングを成功させるには「信用と信頼」がとっても大切だと、以前より口すっぱくお伝えしている通りです。
こちらの歌舞伎保存会が20年の間、蓄えた信用と信頼をクラウドファンディングという「換金装置」を使って換金するだけ。
というか、そもそも普通にお祭りをする時に「協賛金」っていただくじゃないですか。
あの仕組みとまったく同じなんですけどね。
あれをもうちょっとNOWな感じにしたのがクラウドファンディングです(笑)。
目標金額の「50万円」というのも、ちょうどいいな〜って。
このくらいのサイズ感のチャレンジが、もっともっと出てくると盛り上がるのに……と最近考えていたのもあり個人的にもビビっ!ときました。
そんなお話の中、問題点がいくつか上がりました
- 保存会のベテラン衆にどのように説明するか
- リターンを用意するのが難しい
- 保存会のメンバーの高齢化問題
保存会の若手が、資金集めにクラウドファンディングを利用することを提案したら……
そんなお金をもらうだけなんて……大丈夫なのか?
という声がベテラン勢から上がったそうです。
まぁ、そうでしょうね。
まだまだクラウドファンディングは一般的に知名度が低いし、ちゃんと理解している人は皆無っす。
提案した若手の方も、そうでしょう。
まずは「ベテラン衆に納得してもらう」問題。
もうひとつが「リターン」にまつわる問題ですね。
普通なら歌舞伎公演のチケットをリターンにすれば一番簡単なわけですが、聞けば毎年無料で公演しているとのこと。
まぁ、そうだろうなと。
そうなるとリターンを用意するのが非常に難しいですね、と。
最後の問題は……
これは直接クラウドファンディングには関係ありませんが、歌舞伎の担い手が少なくなっているということも伺いました。
いまの保存会の平均年齢は50〜60歳くらい。
一番若くて30代後半、一番上が70台とのこと。
20年続いた保存会も、あと10年後には……。
という状況ですよね。
このあたりは田舎に存在する、どの団体・グループにもあてはまる問題かなと。
その問題…クラウドファンディングアドバイザーが解決します
ふむふむ……なるほど、なるほど。
はいっ!答えは出ましたっ!!
クラウドファンディングにチャレンジすれば、すべての問題は解決します(笑)。
まず、ひとつめ。
ベテラン勢にどのように理解してもらい、納得してもらうか問題。
これは……とりあえず置いておきます(笑)。
はい、ふたつめ。
リターンの問題ですね。
これは意外と簡単なアイディアで一気に解決です。
保存会のメンバーの中に必ず「農業」をやっている人がいるはず。
その方のつくったお米をリターンにすればいいだけの話。
しかも、日本で一番美味しいと言われている南魚沼産のコシヒカリ、しかもその中でも一番人気がある「塩沢産」となれば最強のリターンの爆誕です。
お米だけでは流石におもしろくないので、ほかにも地元の特産品などを上手いこと混ぜ込めば、それほど難しくないのかと。
南魚沼にはそういった資源はたくさんあるじゃないですか。
はい、これでリターン問題は解決っす。
みっつめの「後継者問題」について。
これもかなりイージーに解決できます。
クラウドファンディングにチャレンジして、注目を集めるだけでOK!!
クラウドファンディングは換金装置であると同時に、広告の装置でもあります。
これを忘れがちな人が多いですが、めちゃくちゃ大切なところです。
南魚沼市という片田舎では、まだまだそういった新しい試みにチャレンジするだけでも、かなりのコマーシャル効果があります。
まずはクラウドファンディングを通して若い人に保存会を知ってもらい、交流会なんかをして興味をもってもらって、実際に歌舞伎をみてもらう。
この流れをつくることができれば、必ずや「やりたいですっ!」という若人が現れます。
はい、これで解決ですね。
ここでひとつめの問題へ。
リターンの話から、後継者までの一連の流れを淀みなくベテラン勢に説明します。
- お金をもらうだけじゃないということ(リターンがある)を理解してもらう
- 南魚沼市の特産品を日本中にアピールすることができる
- 若い人に注目してもらって後継者が増えるかもしれない
このようなメリットがあるわけですから。
「そういうことなら……」と、ベテラン勢も首を縦に振るしかない状況だと思うんですよね。
もちろん、それに伴う手間はもちろんかかりますよ。
でもね、普通に協賛金を50万円集める手間に比べれば「屁」みたいなもんかと。
50万円集めるのって、めちゃくちゃ大変ですからね。
方々に挨拶にいって、頭を下げて、お願いをしなくてはいけません。
(僕も毎年一回やっているので、よくわかっています)
クラウドファンディングでが、そのあたりの手間とはちょっとタイプの違う手間がかかりますが、直接協賛金巡りをするよりは圧倒的に楽です。
クラウドファンディングの本当の意味とは
で、最後に若手の方にお話させていただいたのこと、こんな話でした。
クラウドファンディングに挑戦することで、保存会の絆もまた一層深まりますよ
と。
歌舞伎というコンテンツを通して保存会が団結するように、クラウドファンディングがきっかけで新しい繋がりができると思います。
3ヶ月前から歌舞伎の稽古を始めて「あーでもない、こーでもない」と話し合う。
ときにはぶつかり合い、励ましあいながら当日を迎える。
一生懸命に演じて拍手をもらい、舞台から降りる。
そのあとにメンバーで祝杯をあげるわけじゃないですか。
いままでの苦労が報われる瞬間。
そこに「クラウドファンディングでの資金調達にも成功した!」という成果が加われば、さらに盛り上がり絆が深まる……と僕は思うわけです。
目標金額に達さず成功しなくても「ひとつの目標に向かって全員で取り組んだ」という過程が大切なんです。
そういう観点からみると、スポーツに似ているのかもしれません。
お金以外にクラウドファンディングがもたらす副産物について【目から鱗】まとめ
何が言いたいのかと言うと……
クラウドファンディングはお金を集める集金装置ではない
ということを声高らかに叫び伝えたいわけです。
この記事でお伝えした通り……
- 信用と信頼を換金する装置
- 地域や人を発信する広告装置
- 人々の絆を深める架け橋
なんです。
面白いですよね。
自動車の構造をすべて知らなくても、車を運転することはできます。
同じようにクラウドファンディングについて詳しい知識がなくても、お金を集めることができます。
でもね、もうちょっとだけ知識と理解を深めると、もっと遠くにいけるかもしれないよ……と。
そんな気持ちで、このブログを書きました。
これからクラウドファンディングに挑戦する人に、少しでも伝われば幸いです。